きゃねろぐ

とある「おひさま」の徒然日記

東工大2022 数学第2問

(1)

 x=a+b+c,y=bc+ca+ab,z=abc とおく.

 \mathrm{gcd}(x,y,z)=1背理法で示す.

 \mathrm{gcd}(x,y,z)\ne1 と仮定すると,ある素数  p が存在して  x,y,z はすべて  p の倍数である.

特に, z=abc p の倍数であることから, a,b,c のいずれか一つは  p の倍数である.

 a p の倍数であるとして一般性を失わない.

このとき,

 b+c=(a+b+c)-a=x-a,  bc=(bc+ca+ab)-a(b+c)=y-a(b+c)


より, b+c,bc はともに  p の倍数である.

特に, bc p の倍数であることから, b,c のいずれか一つは  p の倍数である.

 b p の倍数であるとして一般性を失わない.

このとき, c=(b+c)-b p の倍数となるが, a,b,c がすべて  p の倍数となるため  \mathrm{gcd}(a,b,c)=1 に矛盾する.

したがって, \mathrm{gcd}(x,y,z)=1 である.

 \square


(2)

 v=a^2+b^2+c^2,w=a^3+b^3+c^3,\mathrm{gcd}(x,v,w)=K とおく.

 v=(a+b+c)^2-2(bc+ca+ab)=x^2-2y,  w=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-bc-ca-ab)+3abc=x^3-3xy+3z


より, K=\mathrm{gcd}(x,x^2-2y,x^3-3xy+3z) が成り立つ.

(i)

 K 4 の倍数であると仮定すると, x,x^2-2y,x^3-3xy+3z はすべて  4 の倍数である.

 2y=x^2-(x^2-2y) であり,右辺は  4 の倍数なので, y 2 の倍数である.

 3z=(x^3-3xy+3z)-x(x^2-3y) であり,右辺は  4 の倍数なので, z 4 の倍数である.

以上より, x,y,z はすべて  2 の倍数となるが,これは(1)で示した  \mathrm{gcd}(x,y,z)=1 に矛盾する.

したがって, K 4 の倍数でない.

(ii)

 K 9 の倍数であると仮定すると,(i)と同様の議論により  x,y,z はすべて  3 の倍数となり  \mathrm{gcd}(x,y,z)=1 に矛盾する.

したがって, K 9 の倍数でない.

(iii)

 5 以上の素数  p に対し  K p の倍数であると仮定すると,(i),(ii)と同様の議論により  x,y,z はすべて  p の倍数となり  \mathrm{gcd}(x,y,z)=1 に矛盾する.

したがって, K p の倍数でない.

(i)〜(iii)より, K としてあり得る値は  1,2,3,6 のいずれかである.

実際,

 (a,b,c)=(1,1,3) のとき, \mathrm{gcd}(a,b,c)=1,K=\mathrm{gcd}(5,11,29)=1,  (a,b,c)=(1,1,2) のとき, \mathrm{gcd}(a,b,c)=1,K=\mathrm{gcd}(4,6,10)=2,  (a,b,c)=(1,1,1) のとき, \mathrm{gcd}(a,b,c)=1,K=\mathrm{gcd}(3,3,3)=3,  (a,b,c)=(1,1,4) のとき, \mathrm{gcd}(a,b,c)=1,K=\mathrm{gcd}(6,18,66)=6,


となることから, K=1,2,3,6 はすべてあり得る.

以上より,求める値は  1,2,3,6 である.